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君を車椅子に乗せて東京を歩く

病弱な夫がこの頃いよいよ体調を崩しており、起き上がるのが難しい。

普段も出かける時はしばらくじっとして、体力を溜めてからようやく杖をついて出かけるほどで、家では大体寝たきりでいる。

家でずっと寝たきりで過ごすと退屈で仕方ないらしい。私も苦しそうな夫を見ながら家にばかりいると無意識に気が塞いでしまうので、GWを前に、連れ立って出掛けられるよう Amazon で車椅子を買った。*1

 

カドクラ チャップス 自走用車椅子 折りたたみ式 オーシャンブルー A101?AB

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ロードムービー

家では起き上がることも難しい夫を車椅子に乗せて東京の町中を歩いていると、不思議な気持ちになる。

私の掌が操る車椅子の先に夫の身体があって、そのすべてを私に委ねながら運ばれている。人間ひとりの命を運んでいるこの感じはなんだろう。

春の風吹く町はやさしく、ときどき意地が悪い。普段なら通れる道が通れない。少しの段差が大きな障害になる。必然的に普段とは違う風に、町と付き合うことになる。

 

生身の人間を何かに乗せて押した記憶は、10歳離れた弟の育児をしていた頃以来だ。

赤子より何倍も重い数十kgする大人を押して歩くことは、海外旅行用の大きなトランクを引きずって町中を闊歩するよりもう少し、難しい。

少しの段差でも随分衝撃になるので、台車に大人の体重分のひよこなんかを乗せて歩いてるような感じだろうか。

こういう、人間を何かに乗せて押しながら歩くのに似たシーンをどこかで見た気がする。「誰も知らない」*2でたしか母親がトランクの中に子どもを入れて移動するシーンがあったけど、でもあれはちょっと違うか。

ここではないどこかへ向かう的な、ロードムービーっぽい感じ。「PiCNiC」*3に近いシーンなかったっけって思ったけど、思い出せない。野島伸司だったかもしれない。

 

飲酒と運転

車椅子での初散歩は、芝公園と新橋とを往復してゆるゆると歩いた。途中、図書館に寄ってしばらく本を読んだ。図書館はバリアフリーに気遣われているようで、館内へ入り移動するのに苦労がない。

帰り道のコンビニでアルコールを買って、飲みつつ歩く。

「(押す人が飲酒してると)これも飲酒運転になるのかな?」と夫がいう。自力で運転可能な非電動車椅子なので飲酒運転にはならないだろう。そもそも乗ってる夫は飲んでないし、そこらへんの歩行者よりよほど低速で進んでいる。

 

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電車とホームの距離

GWなのもあって、翌日もお出かけした。今度は少し冒険をして、電車に乗ってみることにした。

最寄りの駅は地上階から行けるエレベーターが設置されていなくて、違う路線の改札から入場証のようなものをもらって目的の路線までいかなければいけない。だいぶ不便であることを初っ端から体感した。

車椅子で電車に乗車する時は、駅員さんに手伝ってもらって電車とホームの間に板のようなものを敷いてもらう。時々見たことがある風景だ。

どの駅でも駅員さんに声をかけたら、シュッと介助してもらえた。

 

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なめらかな日本橋

 

 JRと地下鉄を乗り継いで、日本橋まできた。徒歩だと家から半径400m圏内の生活をしている日頃の夫を思うと、ずいぶん遠くまで来た気がする。

 

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日本橋あたりはほとんど高低差がない平らな町という印象を持っていたが、車椅子を押してみると、なめらかに上下するところがある。ただ歩くだけだと町の起伏をこうして体感することはないだろうなと思いながら、車椅子を押す。

日本橋にきた目的は、貨幣博物館。入場無料で、日本の貨幣の歴史についての展示が見られる。車椅子の貸出も行っているので車椅子でも当然入場でき、2階の展示室へはエレベーターで行ける。

 

 

博物館内の資料の写真撮影NGなのが残念だったが、とてもおもしろかった。

 

人形町玉ひで

日本橋から人形町までぶらぶら車椅子を押しながら歩いて、親子丼で有名な「玉ひで」で食べて帰ることにした。

 

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www.tamahide.co.jp

 

夫はまったく歩行ができないわけではないので、比較的飲食店への入店がラクかもしれない。段差があっても入り口で降りてもらって、車椅子を折りたたんで省スペース化したあと、店先などに置かせてもらう。この日は「玉ひで」だけでなくカフェなどいくつか飲食店に入ったが、どのお店もとても親切だった。

 

車椅子で降りる階段

帰りの電車ではまさかのエレベーターのない駅で、階段の横についてる車椅子乗せるやつを初体験して、テンション上がった。(といっても私は乗ってない)

 

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地下鉄だったのでついでに、前々から「もらったほうがいいよねー」と話していた「ヘルプマーク」をいただくことに成功した。 

 

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夫のように若くて、見た目だけでは体調の悪さが伝わりづらい病気*4だと、申告しないと席を譲ってもらう機会はほぼないし、逆に優先席に座っていたら誰か他の人に席を譲ってほしいと言われることもあるだろう。

こういうマークを無料で配布してくれているのは非常にありがたい。

 

たぶん多くの人は(少なくとも年老いるまで)ヘルプマークとも車椅子とも縁のない生活を送るはずなので、何の参考になるものでもないが車椅子、人間運べて便利という感じだった。

次は一緒にどこへいこうか。

 

 

今週のお題ゴールデンウィーク2018」

*1:当然はじめて車椅子を買ったが15,900円と安く、折りたたみができて操作も軽いので結構いい買い物だった。

*2:誰も知らない - Wikipedia

*3:PiCNiC - Wikipedia

*4:クローン病 - Wikipedia

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