イギリスへ行ってきたので、イギリス文学ゆかりの地を巡る文学散歩をしてきました。
滞在時間と場所の事情により、訪れた場所はロンドン市内のみです。
ジョージ・オーウェルゆかりのホテル
イギリス初日、ヒースロー空港からほど近い街、ヘイズ にある「Fountain House Hotel」に一泊しました。
ここはジョージ・オーウェルが高校教師をしていた高校があった場所であり、オーウェル自身もそこに住んでいました。片田舎の小さな高校だったらしく、当時の生徒数は十数人ほどだったようです。
現在はホテルになっており、宿泊可能。
このホテルのすぐ近くに大きな公園があり、その一角にSaint Mary's Church Hayesという教会があります。
ヘイズで最も古いこの教会が建てられたのは1200年代。オーウェルが執筆・監督した学校演劇「Charles II (チャールズ2世)」もこの教会で行われました。オーウェルは高校教師時代、ここをよく訪れ、副牧師を手助けしたり変わった仕事を無償で引き受けたりしたそうです。
ホテルにはモーニングがついており、簡単なシリアル、果物、ジュース類などと一緒に、English breakfastが食べられます。
English breakfast pic.twitter.com/WeYWxw0ANW
— 深町ミネコ (@meymao) 2015, 4月 17
「イギリスの食事はマズい」というのは有名な話なので、かなり身構えていましたが、美味しかったです。
思ったよりご飯美味しいから調べたら「フル・ブレックファストを称賛する際には作家のサマセット・モームが残した「イギリスで美味しい食事がしたければ、1日に3回朝食を取ればいい」という言葉が引き合いに出されるが、昼食・夕食の質の低さを皮肉ってこのモームの言葉が引かれる場合もある」って
— 深町ミネコ (@meymao) 2015, 4月 17
周囲は住宅街でこれといったものがないため、観光用途での宿泊はオススメできませんが、中心部と比較すると安くで宿泊できたので、飛行機の発着の都合によって空港近辺に宿を取りたい時にはいいかもしれません。
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Bloomsbury地区
二泊目から数泊の間、大英博物館横のホテルに宿泊しました。ここら辺はBloomsbury地区と呼ばれ、博物館の他にも公園、ロンドン大学などがあり、文化的な雰囲気と美しい町並みを味わえる地区です。
早速ホテルに荷物を預けてGordon Squareへと散歩へ向かいました。
Gordon Square Gardenの入り口に、Bloomsbury Groupに関する案内板があります。
Bloomsbury Groupとは、20世紀前半期に存在したイギリスの芸術家や学者のグループです。ヴァージニア・ウルフを中心に、経済学者のジョン・メイナード・ケインズ、画家のロジャー・フライ、作家のE.M.フォースターなど、知識人たちが集い、意見を交わすなどした、文人サロン的なグループです。
ヴァージニア・ウルフをはじめ、ケインズやT.S.エリオットなど、グループメンバーの旧居や職場跡の案内が周囲にあります。
ロンドンの街を歩くと、ときどき建物の壁にこのような丸いプレートがはめ込まれており、そこに「(人名) lived here」といった文言が刻まれています。
作家以外にも、評論家や学者、アート系やさまざまな著名人の旧居跡等の情報が街中にあるので、意識して見て回ると面白いかもしれません。
Gordon Squareにほど近いTavistock Squareにも、ヴァージニア・ウルフに関する案内板があり、ウルフの銅像もあります。

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なお、Tavistock Square付近にはその昔、ディケンズが住んでおり、プレートでその場所を見ることができます。(建物は現存せず)
ディケンズ博物館
ディケンズが実際に住んだ家で唯一現存する建物が、現在ディケンズ博物館になっています。
ごく普通の住宅に並んで、ディケンズ博物館があります。
学割があるようだったので(私は大学生のため)在籍する大学の学生証をみせたら、学生料金で入れました。(「この(学生証の)文字読めるかい?」「いや、読めないけどまぁ学生っぽいから学生料金でいいぜ」みたいな会話を夫が窓口の人としていました)
内装の木造部や暖炉などは当時のまま残っているようで、当時の暮らしぶりを再現した部屋を回ることができます。
一番驚いたのは、ディケンズ本人が実際に使っていた机や小物が残っており、ここに展示されていたことです。
オリバー・ツイストなど幾つかの物語はこの家で執筆されたそうです。
221B Baker Streetへ
シャーロック・ホームズ博物館を目指して、ベイカーストリート駅へ降り立ちました。
ベイカーストリートと言えばやはりホームズ。駅構内や周辺に、ホームズに関する色々なものを見つけることができます。
Baker Street。Bakerloo Lineのプラットホームの壁にシャーロックホームズがいる pic.twitter.com/YJsb0q3L5u
— fukamachi (@nitro_idiot) 2015, 4月 17
シャーロック・ホームズ博物館は駅から歩いて数分のところ。
地図を見ながらうろうろしていると、建物の前で列をなしている集団がいれば、そこがシャーロック・ホームズ博物館です。
博物館に入るにはチケットが必要ですが、チケットは博物館の右横にあるグッズ販売店で先に買い求めなければいけないので要注意。
複数人で訪れる場合は、誰かが並んでおき、誰かがチケットを買ってくる、ということをするとスムーズに入れます。
館内ではホームズに関する色んなものが展示されています。部屋の再現や小物のほかに、小説のワンシーンを再現した蝋人形の展示などもあります。
日本からの観光客が多いのか、日本語のパンフレットが用意されていたり、展示の一部に日本語表記がありました。
もっとも印象に残っているのが、このコカインに関する記述。
ホームズが麻薬依存症だったといって軽蔑する人がいるけれども、それは当時の実情を知らぬからである。
ホームズ時代は、コカインがヨーロッパへ強壮剤として紹介されたばかりの頃で、もちろんまだ麻薬に指定されていなかったし、薬理作用もよくわからなかった。フロイトがコカインの薬理を初めて研究し、友人に飲ませたり自分でも愛用していたのが1884年のことであった。1890年にはコカの抽出物が「悩みを吹きとばす薬」とか「運動家むけワイン」として売りだされ、ゾラ、イプセン、スティーブンスン、ジョイスなども愛用者だった。
なお、ベイカーストリート駅から博物館までの道のりを歩いていると、H.G.ウェルズの旧居跡などもあるので、興味のある人はついでに見ることができます。
マーシャルシー監獄〜リトル・ドリット〜George Inn
テムズ川を超えて南へいくと、ジョン・ハーバード図書館の脇に、マーシャルシー監獄のあった場所があります。
ここはディケンズの幼いころ、父親が投獄されていた場所であり、この体験を基に「リトル・ドリット」が書かれています。
現在は監獄の跡形もなく、ただ当時の壁が一部に残されているとのことで探しましたが、ちょうど周辺ビルの工事か何かで覆いがかかっており、見ることができませんでした。
マーシャルシー監獄跡の向かいには、リトル・ドリット公園があります。
遊具の充実したよい公園で、地元の親子らしい数人が遊んでいました。
リトル・ドリット公園の通りをテムズ川方面に向かうと、George Innがあります。
George Innは16世紀からあり、宿場として栄えた場所で、シェイクスピアやディケンズが通っていた場所です。ディケンズの「リトル・ドリット」にもこの場所が出てきます。 現在はパブがあり、実際に飲食できます。
付近にフードマーケットとして有名なボローマーケットやサウスワーク大聖堂、監獄ミュージアム、グローブ座などがあり、ミレニアム・ブリッジで歩いて川を超えることもできるので、文学散歩以外にもぶらぶらして楽しめる地区です。
イギリス文学みやげ
ロンドン大学の側にある本屋さん「WaterStones」にふらっと入ったら、PENGUIN BOOKSのグッズを売っていました。
今回の旅行ではモノをほとんど購入しませんでしたが、 唯一自分へのお土産としてこのマグカップを2つ買って帰りました。
以上、今回まわったイギリス文学散歩でした。
(今回まわった場所はGoogle Map上にも記してあります)

イギリス文学紀行 ディケンズ、オーウェルからブロンテ姉妹まで―名作ゆかりの地をさるく2
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過去の海外文学散歩記事は以下より参照できます。