本トのこと。

ここは個人のブログだよ

はじめての妊娠で知ったこと。やったこと。感じたこと。

このたび第一子を授かり、妊娠出産を経験することができたので、妊娠を通して知ったこと、やったこと、感じたことなどをブログに書いておこうと思います。
 
妊娠は基本的に週数でカウントするようで、大きく分けて妊娠初期(〜15週)、中期(16週〜27週。いわゆる安定期)、後期(28 週〜。正期産*1 37週〜41週)に分類されます。 

妊娠初期(〜16週)

妊娠発覚。子宮外妊娠などのトラブルがないか、心拍が確認できるか(経過が順調か、心拍の確認が一つの山のようです)などを見ていきます。
 
妊娠後に知ってその多さに驚いたのが、流産率。妊婦のうち15%が流産(およそ7人に1人の割合)し、うち80%は胎盤が形成される妊娠12周目までに起こるケースが多いとのこと。
 

www.babys-room.net

 

より詳しく見ると妊婦の年齢により流産率が変わり、私の年齢層の場合は 25%(4人に1人)の流産率と記載されています。
妊娠初期の流産の原因の多くは胎児の染色体異常といわれており、妊婦が気をつけて流産を防げるものではないんですね。
25%の流産率という数字は、検診に行くのが本当に不安なんです。なので安定期に入るまで極力夫に付き添ってもらいました。万が一、一人で検診して「流産してますね」って聞くことを考えると、受け止めるのも自分の口から夫に伝えるという作業も辛すぎる。
 
妊娠初期は、妊娠した喜び、赤ちゃんがこのまま無事育ってくれるかの不安、つわりやマイナートラブル……と体調や環境の変化が激しく、一番気持ちがせわしくナーバスな時期でした。  
 

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いただいた安産御守の一部

つわりのこと

つわりについて、周りの人の体験談など聞いたら「食べづわりがあった」から「毎日吐いてた」とかいう人もいて、一口に「妊婦」って言ってもほんと状況も経過も全然違うんですね。
 
私のつわりは、24時間みぞおちをグーで押されてる感じで「ゲェゲェ吐く感じではないが、できれば動きたくはないし、なんだこれは神様の嫌がらせかな?」という感じのつわりでした。*2

 

できないことや、食べられないもの

妊婦になると、さまざまな制限があるようです。ありそうだということは何となく想像つくけど、具体的に何をしたらダメとか分かります? 私は分かりませんでした。だって妊婦になったことなかったし。なので、遅ればせながら妊婦情報をめっちゃ調べました。
以下はすべて、妊娠中にできないこと(の一例)。
 

 

飲み物はアルコールは当然NGとして、カフェインも摂りすぎないよう注意するんだけど、意外と本とかに書いてなくても「これもダメなんだ……」みたいなのがあったので、とくに妊娠初期には「妊婦 ◯◯(食材名)」で検索して、食べて大丈夫そうか調べてました。*3

ZOMBI CITY TOKYO

2018年の夏に妊娠が発覚したわけですが、この年は風疹調査の現行の集計方法が始まった平成20年以降、過去2番目に風疹患者が多い年で、ちょうど妊娠初期のタイミングでこの流行にぶつかりました。
 
妊娠20週頃までに母体が風疹にかかると、生まれてくる赤ちゃんが難聴や白内障、心疾患などの障害を持って生まれる「先天性風疹症候群」になる可能性が高くなるとされています。
風疹はワクチンを打つことで予防できますが、妊娠中はワクチンの接種ができず、またワクチンの接種をしたことがある妊婦でも抗体がつきにくい体質の人もいます。
 

style.nikkei.com

 

私も風疹の抗体検査をしたところ、抗体が低いとのことで風疹に注意するよう言われたんですが、注意するもなにも、どう注意したらいいんですか……。
 
まじで街を歩くのも電車を乗るのも、ゾンビタウンを歩く気持ちで、誰が風疹にかかってるのかも分かりようがないし、どう生活すれば正解なのか全然ワカンねぇ……。ということで、20週になるまでの間、会社と相談のうえリモートワークをさせていただきました。本当にありがたい。
 
夫にも風疹抗体があるか検査を受けてもらうと共に、夫の会社への妊娠報告と併せて風疹について周知してもらったところ、実際に夫の同僚何人かが風疹の抗体検査を受けに行ってくださったり(すごくないですか、めっちゃありがたい……)。
 

妊娠中期(16週〜27週)

妊娠中期になると少しずつお腹がでてきます。また、少しずつ胎動も感じ始めます。
いわゆる「安定期」と呼ばれる期間に入り、戌の日のお参り*4があります。  

マイナートラブル

妊婦にはつわりや妊娠線だけでなく、様々な体のトラブルが発生します。
個人的にひどかったのが、
  • 足のむくみ
  • 動悸
  • 肌荒れ(乾燥)
  • 頻尿
  • 睡眠が細切れになる
 
妊娠も週期が進んでいくと、昼夜問わずやたらトイレが近くなるのですが、夜寝ている間もトイレに行きたくなり、頻繁に目覚めました。
「頻繁」ってどのくらいかというと一晩で5回とかで、その後すぐに寝付ければいいのですが、睡眠失敗する時には午前3時頃から朝まで眠れずそのまま仕事みたいな感じで、そのせいで体調を崩すこともしばしば(生活や仕事への影響はこの睡眠の質の低下が一番大きかった)。

 

あと、妊娠中にむくみがあったんだけど、とくに出産前後のむくみがひどかった......。 

妊娠後期(28週〜40週)

妊娠も後期になると、母体の体重増加も一気に加速し、9ヶ月頃からは顕著に体の重さが異なってきます。お腹も張りやすくなったり、中の人がずっしりしてきて成長が著しくなります。
 
出産予定日のひと月半前くらいから産前休業に入るのですが、産前の休業期間は最後のまとまった時間なので、大体この産休中に産後必要な物品の購入や模様替え、入院準備などをはじめ、出産のさまざまな準備をします。
実際買ったもの、使ってみてよかったものは、機会があれば別エントリにでも書こうかと思います。 

育児関連の本読みまくる

妊娠期間通してさまざまな本を読みましたが、この時期にあらかじめ出産後に必要となりそうな知識をつけるため、関連書籍を読み漁りました。
重点的に読んだのは、寝かしつけの本、育児・しつけ・教育に関する本、子どもの病気に関する本、など地続きで今後の生活に活かす知識や基準のイメージを膨らませられそうなもの。
読んだ本については、機会があれば別エントリにでも書こうかと思います。 

遺書を書く

姉(4人の子の母)に、妊娠初期に妊娠報告をした際に開口一番に言われたのが「遺書書いた方がいいよ」でした。
曰く、第一子出産時の担当医に「私まだ出産経験ないですが、子ども産むことになったら遺書書きますね」と言われたとのこと。姉自身も第一子の時に切迫早産になりかけるなどトラブルがあったらしく、最後までなにがあるか分からないし、一人一人で違うのが妊娠出産なんですね。
 
妊娠初期に、妊娠出産に関する死亡率について調べたことがあるのですが、2015年のデータでは日本での妊娠および出産自体による死亡は100,000人あたり5人と記載があります。
 
 
世界平均が216/100,000人なので、世界的に比較すれば日本は安産大国と言えそうですが、どれだけ医療が発達しても死亡をゼロにすることは難しいわけで、これから出産する身としてはこれを「自分には関係のない数字」として受け取れる気がしません。
 
そもそも遺書自体を書いておくのは悪いことでないと思うので、主に夫に向けて財産のこと、遺品の整理の仕方、育児の方針、再婚の方針についてなど、遺書を残せたのは良かった気がします。

まとめの感想

子どもが欲しいと願っただけ

妊娠後、いろんな妊婦情報を学び、体調の変化を体験し、入れ替わり立ち代りせわしく感情が交差するなか、ふと「私は子ども*5が欲しいと願っただけで『妊娠出産したい』と思ったわけじゃないんだな」ということに気づきました。
 
もしかしたら世の中には、妊娠出産は当然子どもを授かるとセットで代え難い体験すべきことと感じてる人もいるかもしれませんが、率直に言って妊娠も出産も辛いことが多いので、甘ちゃんな私のような人間はそんなようなことを感じたりしたわけです。
こんなことを言うと「なら子どもなんか作らなければいいじゃん」という短絡的な声がどこかから聞こえてきそうですが、子どもを望むことや授かる嬉しさと「妊娠出産がつらい・怖い」という感情は十分同居し得るものだと思うんです。
あまりに当然のこととして受け入られているのか、あんまりそういうお母さんの声を見ない気がするけど。  

妊婦になるということ

あまりこれまで自分が妊娠した時のことをイメージしたことがなかったので、妊婦情報も分からなければ、自分が妊娠することでどう変化するかも想像つきませんでした。
 
妊娠してから分かったことは、すでに挙げたとおり流産率の高さや、具体的な食事や行動の制限、つわりを始め数々のマイナートラブル、体調や体型の変化、そして出産など、乗り越える問題の多さでした。
それに加え、とくに妊娠初期はまだ胎動もなく「本当に生きているのだろうか?」と過ごす日々は、子を授かった喜び以上に怖いものとして、人生のうちでこんなに一日一週間が長い日々はなかったと思うほどです。
 
生まれてしまえば夫婦の子どもとして共に協力し育てることもできますが、お腹の中にいる間になにかあったら、それは自分のせいかもしれないし、自分のせいでなくても自分のことだけを責めそうな気がします。我が子が自分のお腹のなかで健康に育たないかもしれない、お腹のなかで死んでしまうかもしれないということは、想像するだけでもつらいことで、その恐怖と責任を一身に背負うのが妊婦なんですよね。
 
ちなみに、インターネットでよく見かける「妊婦にきびしい世間の人」体験は妊娠中一回も遭遇することはなくて、電車で席を譲られること数多く、もっとも驚いたのが連休で激混みの新幹線自由席で席を譲られた体験です。世の中、親切なひとも多い。

何はともあれ

妊娠期間は一生のうちでも本当に長く感じたトツキトオカでしたが、何はともあれ母子ともに健康に、無事出産できこうしてブログを書けることに安堵しているところです。
妊娠中、このような大変な思いを世のお母さん方はされているのだなぁというのを身を以て体験すると、「世の中には偉いひとたくさんいるけど、お母さんは偉いうえに尊いのだなぁ」と畏怖の念を抱く気持ちでした。(実母には「赤ちゃんが腹の中にいるときより、出てきた後のほうが大変やで」とよく言われましたが)
 

*1:出産に理想的な期間

*2:どんな感じかは体験してみたい場合は、みぞおちを10分ほど押してみてください

*3:夜眠れなくて夫がカモミールティー淹れてくれたんだけど、念のため「妊婦 カモミールティー」で検索したら「カモミールには子宮を収縮させる作用があるため、特に妊娠初期には控えたほうがよい」と書いてあり、せっかく淹れてくれたのに飲めない、ということもあった

*4:多産でお産の軽い犬にあやかり、5ヶ月に入った戌の日に安産祈願をする

*5:ここで言う「子ども」は養子縁組などを含まない

【追記あり】技能実習生を雇用している父に質問してみたら、我が家の謎がすこし解けた

私の実家は会社を経営をしており、数年前から外国人実習生を雇い入れている。

主にベトナム人で、一緒に会社を切り盛りしている母は寮*1の管理や、時にはLINEで日本語についての質問に答えたりなど、親身に世話をしているようだ。

 私はテレビを持っておらず、普段ニュースもさほど見ないので社会問題に明るくないのだけど、外国人実習生に関する問題が目に入るたびに、その現状のひどさや、それに対する世論の反応なども含め、この近くて遠い実習生問題について気になっていた。

「うちの実家も外国人実習生を雇い入れているが、報道されるようなひどい環境で働かせていたりしないだろうか」「不当に低い賃金で働かせるようなことはしていないだろうか」

私がそんな心配をしても仕方がないのだけど、ぼんやりとニュースが目に入るたびにそんな不安があった。

そんな折、非常に珍しく父がうちのすぐ近くで仕事の打ち合わせをしていて「時間が空くからお茶でもしないか」と連絡してきた。

父は多忙な人で年に3回会えばいいほう、数ヶ月先の予定までびっしり入っているような、そんな人なのである。住所を聞けばうちから徒歩圏内のところで打ち合わせのようだったので、終わったらうちに遊びにおいでよ、コーヒーを出すよと言った。思えば実家を出てから父が私の家を訪れるのは初めてのことだった。

 

そんなわけで突然父とゆっくりお茶しながらサシで会話する機会があったので、ずっと気になっていた実習生の話を質問してみた。

「ニュースでは、劣悪な労働条件で働いている外国人実習生がいたり問題になっているようだけど、父上の会社では(日本人と比較して不当に)給与が低かったりとかしないの?」

娘とはいえ失礼な質問だとは思うけど、父は怒ることなく彼らの条件などについて教えてくれた。

「うちの会社から出るお金は、日本人でも外国人実習生でも同じ。日本人の新人を雇うのと、実習生の新人を雇うのは同じ給料」

気になっていた給与面の条件で不当なことがないということに安心した。「ただし......」と続けて、無知な私が知らないことを教えてくれた。

「彼らには監理団体がいて、その団体に毎月監理費を支払っている。その代わり監理団体は彼らの就業状況にとてもうるさくて、残業も10分単位で苦情がくるから、不当に長時間労働させるみたいなこともない」

この監理団体への監理費というのがまぁまぁな金額で、父上曰く(日本人と同等の)給与から監理費が引かれ、所得税など各種税金が引かれた金額が彼らの手取りになるとのことだった。(企業じゃなくて実習生負担なの?と思い、これについては母にも聞いたところ「監理費は会社から出てるものだと思うけど」とのことで、聞いた話だけでは実習生の手出しなのか会社負担なのか確かでない。この記事*2では実習先企業側が支払うと書いてあり、どちらにせよこれについては、雇用元が搾取しているという構図のものではない。※ページ下部に追記あり

ベトナムからやってくる実習生は日本へ来るために100万円近い借金をしてくるという。それでも日本で働けば一年で借金を返して、残りの2年で200万貯めれば、ベトナムでは家が建つ金額らしい。

「彼らは本当にお金を使わない。弁当も毎日自分たちで作って用意して、生活費月2万くらいで残りは全部貯金する」

一瞬「ゴールドラッシュっぽいな」と思ったけど、一攫千金というほどの話でもないので、そんなに夢のある話ではない。

「実習生が失踪するケースも少なくないっていうけど、彼らはなんで逃げるの?」

確実にお金を貯めて国へ戻れるなら、逃げることもないような気がしてくる。

「仕事がきついとか色々理由はあるだろうけど、先に日本にきて脱走した同胞にそそのかされて逃げるというケースもある。さっき言ったように監理費があったり税金があったりするけど、いい条件チラつかせて引き抜いて、逃げればそういうの払わなくてもいいじゃんって思って逃げるけど、不法滞在になっちゃうし結局自分の首をしめることになる(けど、その時にはそれに気づかない)。」

日本人でも普通に働いていればキツいことも辛いこともあるし、仕事辞めたくなったり転職したくなったりするので、実際働いてみた後に仕事選べたいよねというのはまぁ分からなくもないけど、技能実習という枠で来ているとそうもいかないんだと思う。

「支払う給料も日本人と同じだし、母語が異なるのでコミュニケーションコストも高いと思うけど、そこまでしてなぜ外国人実習生を雇うのか、やはり人材不足なのか」と聞いたら「それもあるけど、まあやってみないと(実際雇ってみないと、いいか悪いかとか)分かんないじゃん?」と言っていた。

ここまで会話してふと気になったのが、ベトナムの会社のことである。父は日本の会社のほかに、ベトナムでも会社を経営している。

ベトナムの会社、儲かってないって聞いてるけど、なんでベトナムに会社立てたの?」

ずっと謎だったことを質問してみた。娘とはいえ、これも失礼な質問な気がする。母も他の家族も、父がやりはじめたわけのわからない事業にあまりいい顔をしていない(しかも儲かっているならまだしも、全然赤字で儲かってない)。

「まず、ベトナムと日本の技術の差ってやっぱ大きい。そして、実習生としてうちに来て、せっかく日本の技術を習得して母国に帰っていくのに、ベトナムではその技術が使えないんだよね」

えっ......技能実習生として技術身につけにきてるのに、なんでその技術使えないの......。

「この業界だと日本でも昔はそうだったんだけど、昔は一人でなんでもやりますできますだったのが、いまは分業化が進んでいて、専門の技術者になっている。でも、ベトナムは昔の日本の方式で、一人でなんでもやりますの世界。だから、日本で専門の高い技術を身につけたとしても、あっちからしたら「いやそういうのより一人でなんでもできる方が使える」ってなるわけ」

それなら、なんのために技能実習生として日本にくる制度があるのか。

ベトナムからしたらまず、外貨獲得という側面が大きいんだろうね。技術を習得するというのも(分野等によっては)あるかもしれないけど、俺も教えた技術がベトナムに戻って使えないというのを後から知ったから。働きにくる実習生としても、技能を身につけるというのもあるかもしれないけど、やっぱ出稼ぎに行くという意味も強いだろうし」

 「技能を身につけに来る」ではなく「出稼ぎに来る」ための労働なら、技能積んでも使えないんだし、たしかにどこで働いても稼げるならそれでいいじゃんとなりそうだ。

「で、うちに来た一期生の子達が、とても優秀だったんだよね。でも職人としてしっかりと日本で高い技能を身につけたのに、それを国に帰って活かせなくて、そこらへんで適当な仕事を始めるわけ。それって、もったいないじゃん。だからベトナムで(彼らが日本で身につけた技能を活かせるように)会社を作った」 

へー、なるほどなー。知らなかった。

しかし赤字覚悟で見知らぬ国に会社立てて彼らのその後まで見据えるとは、我が父ながらお人好しと呼ぼうか、あるいは経営者らしく自分のミッション、ビジョン、パッション、アクションを突き進む人と呼ぼうか。昔から、私のもっとも身近なビジョナリストは、父上なのだ。

 

「で、ベトナムの会社は今後儲かりそうなの?」

とはいえ慈善事業では当然ないので、赤字を垂れ流すばかりでは家族としても心配である。父上の命も無限じゃないし。

「少し前まではサッパリだったけど、最近は仕事が取れるようになった。まだ赤字だけど、仕事が取れるようになったということは、そこで仕事がやっていけるということ(だから見込みがないわけではない)」

ベトナムにある事務所や現地で雇用している人たちの写真などを見せてもらい、一時間ほど会話したところで、三杯目のコーヒーを飲み干した父上は席を立った。明朝、早くにベトナムに飛ぶため、空港近くのホテルを取っているらしい。

「いや〜、やりたいことが山盛りぜよ〜〜」と言う父上を玄関まで見送り、ハグをして別れた。

 

 普段まったく異なる業種で仕事をしているので、他人だったらあまり聞く機会を持てないだろうなという話を一時間みっちり聞けてよかった。あと不思議に思っていた技能実習生の話と、ずっと謎だった「なんでベトナムで会社をやっているのか」の理由も知ることができて、娘的には安堵もした。(理由を聞いてなんとも父上らしいなぁという気がする)

 

技能実習生の問題に限らず、ニュースで何かの問題を目にすると、断片的な情報の中から感じた一面的な受け取り方で判断してしまうことはよくある。分かりやすい悪者を立てて対象自体を非難することはかんたんに出来るけど、それを改善できるようアクションするところまでの行動は多くにおいて、取れない。

しかも少なくともこの問題に関しては、(あるいは業種により)そもそものシステム自体に問題がありそうだし、送り出し機関や監理団体等の利害関係者の問題、雇用元の問題、実習生自身の問題など、ケースによりそう単純ではなさそうである。

父上のようなイチ企業のオーナーが、働く人たちの事情や問題から「どうすればより良くなるか」を考えて実際にアクションを起こしていることもあるだろうけど、そういうのは当然ニュースになるような話でもない。(ワコールの件*3とかもあるけど、これはどちらかというと現状の労働条件のマイナスをフラットにする努力の方向だし、前提が論外な気もする)

 

父上自身が技術者上がりの仕事が趣味みたいな人なので、きっといい腕を持った技術者がその技能を活かせないというのが、我慢ならないのかもしれない。

齢六十過ぎの父上が少年のように語るベトナムでのことや「山盛りあるやりたいこと」が、これからも好きなように健康にやっていけるといいなあと、遠巻きならが娘は思うのであった。

 

追記とあとがき(2019/1/7 19:51) 

技能実習生を雇用している父に質問してみたら、我が家の謎がすこし解けた - 本トのこと。

監理費を実習生に負担させることは禁止されています。( <a href="https://www.jitco.or.jp/download/data/handbook.pdf" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://www.jitco.or.jp/download/data/handbook.pdf の6,7Pに記述有り)「給与から監理費が引かれ」の父親発言部分が事実なら明白な法令違反

2019/01/07 01:07

b.hatena.ne.jp

 

確認して追記すると言っていたこちら、監理費について母に確認を取ったところ「監理費、会社で払ってるよ」(つまり給与条件は同じで、勿論実習生の給与から差し引かれない)とのことでした。

私があまりに熱心に質問していたのか、疑問がちゃんと解消されるよう、どのような支払いなのかなど詳しく教えてもらいました。 

引っかかった部分だったので教えていただいてちゃんと確認できてよかったです。 id:Pgm48p さん、ありがとうございます。

 

私個人はとりわけ技能実習生問題に何か問題提起したいわけでもなく、特別いい話として書いているわけでもなく*4、疑問に思ってたことを質問したその答えを書いただけなんですが、ブックマークコメントを眺めていると、同じ記事へのコメントなのに多様なコメントがありますね。

「経営者は信用ならない」的なのや「ブラックな会社の社長に聞いても同じように答えると思う」という趣旨をコメントもありましたが、私自身、実家の会社で5年ほど経理総務など含め働いたことがあり*5、経営者としての父や、給与を含む支払い全般や、家業の内部についても見たことがあるので、悪い会社でないのは大前提としてあるとはいえ、父の話を丸呑みするもなにも「ああ、相変わらず父上っぽいな」という感想だけでした。こういう話は今回の記事の趣旨とは違うし、書くだけ野暮だと思うんだけど。

監理団体についても、まぁまぁなお金を払っているのは本当だけれど、それが悪いかどうかはよく分からない。文化も言語も法律も違う国からくるのだから、そういう団体が間に入ってちゃんと機能するなら悪くないようにも思う。(とくに個人から取られるのでなく企業が支払うのであれば尚のこと)

 ベトナムの会社については、投資になったり一丁噛みで儲かるならみんなやると思うのですが、実際儲かってないしさほど儲かるとも思ってないから、家族も会社の経営陣も歓迎してないんじゃないでしょうか。

ベトナムで投資してホームランになるまで、会社自体を大きくする必要とベトナム経済が成長するのと両方必要な気がするけど、それって「数年」じゃなくて10〜20年以上のスパンなんじゃないんですかね(日本で会社成長させるのにもそこそこ時間かかるし。ベトナムに詳しくないけど、そんな素早く儲かるものなんですか)。

日本の会社を相応に成長させていて、金銭的にどうこうという感じではないので、ベトナムで自分のやりたいことをやるのもいいけど、日本の会社やその従業員に迷惑にならないといいなと娘は勝手に心配しています。

 

 

 

*1:うちの実家の会社では社員寮がある。

*2:ルポ・技能実習生が「逃げる」ということ(1)「失踪」と片づけていいのか? 借金漬けの移住労働と低賃金(巣内尚子) - 個人 - Yahoo!ニュース

*3:「実習生の人権侵害ないか」ワコール、委託先に異例調査:朝日新聞デジタル

*4:だって、ベトナムで会社作ったとしても、母国に戻った技術者が技能生かして働きたいかは別の話だと思うし。

*5:知らない間に会社が傾いたり、問題が起こると怖いので、なにかあった時のために自分が役立てるよう一通りの仕事をしていた時期がある。

バスに乗るのが怖かった

バスに乗るのが怖かった。

一度バスに乗ってしまうと、もうそれきり、どこか遠くの知らないところへ連れて行かれるような気がした。だから、随分大きくなるまで一人でバスに乗るのが怖かった。

東京では小学生でも自分で電車に乗って通学している子を見かけるから、中学生になってもバスに一人で乗るのを怖がっていたのを考えると、随分怖がりな子だったのかもしれない。

今日家に帰る途中、夫は用事があって夜遅いことに気が付いて、バスに乗るのが怖かったことを思い出した。マンションまで着いて、鍵がなかったらどうしよう。街に放り出されて心細い思いをしないといけないんだ。なんとなくそんな感覚が、遠くの知らないところへ連れていかれるのではないかという、バスへの恐怖感を思い起こさせた。

何度もポシェットの中に家の鍵があるのをたしかめ、それでも心配で、歩くたび鍵を失くしていないか、キーケースを握りしめた。

マンションの下に着いて、ポシェットの中を覗くと、ちゃんと鍵が入っていた。オートロックのガラスの向こうかこちらかだけの違いなのに、鍵がなかったらどうしようと心配がるのもおかしい気もする。家に帰っても誰もいないということが、誰も助けてくれない心細さを呼ぶのかもしれない。

入り口の鍵を開けると、エントランスのぬるすぎる暖房が体を包んだ。ポストから不在票を取ると、これ以上見知らぬ街に吸い込まれないよう、部屋へ急いだ。

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