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誰とでもコミュニケーションしたいわけじゃない

「社内の人同士、もっと仲良くなれるようコミュニケーションできたらいいなと思っているのですが、以前の会社とかではどんな風にコミュニケーションってされてましたか?」

会社のコーポレート担当(?)の方にそんな質問をされて、これまでのコミュニケーションについての記憶を掘り返した。

「以前の会社だと、例えば社員同士のブログやSNSアカウントを知っていて、ゆるく繋がりながらどんなことを発信しているかなど、なんとなくその人の人となりを知れる文化があったのは結構よかったですね」

そう言うと、その場にいた同僚たちから揃って「エーッ!ブログ見られるとかヤなんだけど!」という反応をいただいて、自分の中では当たり前だったことに対して、そう思う人がいるという発想がなかったので逆に新鮮に思ったりした。

「ブログもいいけど、私はやっぱ直接顔と顔を合わせてコミュニケーションするのが、いちばん仲良くなれると思ってる派なんですよね」とコーポレート担当の人が言っていて、実際明るく人好きのする雰囲気のある方なので、対面コミュニケーションが得意なのもあり、そうなのだろうと思った。

「でも前情報もなく、とりあえず人だけがいて、はいコミュニケーションしてください!だと、とっかかりも難しく対面コミュニケーションが得意じゃない人は困ると思うんですよね」

「...なるほどー。私は対面でのコミュニケーションがいいと思っているから、あまりそういう風に考えたことがなかったですけど、たしかにそういう人もいるかもですね」といった感じでその話は終わった。

この会話をした時に、私がとっさに思ったのは、「そもそも全員とそんなにコミュニケーションを取って仲良くする必要があるのだろうか」だった。

正しく意図を説明すると、これは水を差したいわけでも、仲良くしたくないわけでもなく(私は大人なのでさすがに口にはしなかったけど)ただ多様性を求め尊重する会社の中で「仲良くすることが最高に決まっている」という前提に立った問いに対して、単純に互いの距離感を尊重して「人と仲良くする、あるいはしない、という選択の自由」という視点もあってもいいんじゃないか、と思った。

 

人とコミュニケートすることは、多かれ少なかれエネルギーの要ることだと思う。それに、会社かどうかにかかわらず、人はそんなに誰とでもコミュニケーションしたいものなのだろうかとも思う。私は、いつなんどき誰とでもコミュニケーションしたいわけではない。

人とコミュニケーションするとき、その内容や質によって対面のほうがよいものもあれば、ブログやSNSやその他のツールなどが適切な場合もあると思う。友達みたいに付き合いたい人もいれば、ビジネスライクに割り切って物事を進めたい人もいるだろう。そもそもどう頑張っても仲良くなれない人だっていてもおかしくない。

それらを尊重し、丁度いい温度感でコミュニケーションするには、どうやらコミュニケーション手段や程度の最適解が一つではないという前提を持っていたほうがよさそうだ。

先日、仕事関連の勉強会に行った際に、主催者の方が「同じ職種の人同士、情報交換しながら、つながりを持って仲間として交流できる場がほしかった(ので作りました)」と仰っていて、こういう場をありがたいと思う反面、何度か勉強会に参加した私個人の感想として「私はとくに同じ職種ということを理由に率先して懇親したいと思っていない」ということに気づいてしまって、我ながらびっくりしてしまった。

学生時代、同級生に「今日から友達になろう!」なんて言われて「"今日から友達"ってなんだよ」って思っていた過去の体験がなんとなくフラッシュバックして、精製されたコミュニケーションの場というものに同一の人工的な匂いを感じて、いけないのかもしれない。

なんとなく会話はしてみるけど、結局その場だけのあいさつで終わるだろうなという人だと、結局何度コミュニケーションを重ねたとしてもお互いどこまでいっても表面的な付き合いにしかならないと思う。大人なのでそういう付き合い方もできなくはないが、決して歓迎するものではない。

学生時代、同じクラスの人同士が必ずしもみんな仲良しだったわけでないように、仲良くなる人とはちょっとの会話でも仲良くなるし、そうじゃない人とはどう頑張ってもそうなんないし。社会に出てまで外部要因による意図的なコミュニケーションが一定量発生することは、(少なくとも私にとっては)必ずしも心地のよいものではないようだ。

どの場面においても、快適な方法と程度を計りつつのコミュニケーション環境が望ましそうだけど、それを育むのはなかなか難しそうだなぁとぼんやり考えた。

 

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