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最強のカスタマーサポートになるための本17選

この記事は、エアCS Advent Calendar の何日目でもない、ただの記事です。

 

12月なので、CS Advent Calendarがあれば書こうと思ったけどなかったし、なくても書くのが私なので、最強のカスタマーサポートになるための本17選を紹介します。

 

 

 

はじめに

クレーマーのイメージが強いのか「サポートの仕事って大変そうですね...」と言われるけど、正直大変だと思ったことがない。

困ってるひとの問題を解決し、自社サービス(あるいはインターネットという範囲でもよい)を快適に使ってもらえるようサポートできるのは、わたしにとって、たのしいことだ。

 

時々「(CSは)サービスや売上を生みだす部署でもないし〜」と自虐的なひともいるけど、それに対して私はいつも、0から1を生みだしたり、1を100にしなくても「マイナス100をプラス100にできる仕事」だと思っている。

 この仕事が好きだし誇らしくもあるから、私はユーザだけでなくエンジニアを含むサービスを作る人もサポートしたいし、もっといえばサポートの人をサポートしたい*1

最悪なサービス(*2とか)は本気で滅ぼしたいし、もし仮に自社サービスにそういうのがあれば、それをやろうとしてる担当者と全力で殴りあわなければいけない。

そういう力を蓄えたい*3し、実際サポートするにあたり求められる知識は意外と広範囲なので、最強のカスタマーサポート*4になるための手助けとなる本をここで紹介します。*5

 

マーケティング 

サポートとマーケティングは非常に密接な関わりがあります。

お問い合わせをしてくるユーザさんはもれなく、何か困っていたり、疑問があったり、サービスに不満を抱いていたりします。また、サービスへの感謝や意見、要望などもあり、ユーザがどのようにサービスを使っているか、何に躓き、何を期待しているかなど、生の声に日々触れられる位置にあります。

そのため、CSチームがマーケティングについて把握し、その理解を深めることで、問い合わせでの問題解決だけでなく、サービス自体に改善点がある場合などに、迅速に気づき提案できる視点を養えます。

 

1. ドリルを売るには穴を売れ

物語形式で「マーケティングって何だろ?」を知ることができる本です。内容も親しみやすく、ストーリーに沿って体系的に「マーケティングとはどういうものか」をイメージできます。

 

ドリルを売るには穴を売れ

ドリルを売るには穴を売れ

 

  

 

 2. ネット・プロモーター経営 〈顧客ロイヤルティ指標 NPS〉 で「利益ある成長」を実現する

NPSは「サービスに満足しているか」「サービスを他のひとに薦めるか」の質問に対する11段階の評価から、利用者を「推奨者・中立者・批判者」に分類し、サービスの価値を測るとともに、いかにユーザを「推奨者」にするかというもので、アップルやアメリカンエクスプレスなどをはじめ、さまざまな企業で導入されています。

そもそもアンケートをどう取るか、どう集計し、活かすかという一例として参考になります。

 

ネット・プロモーター経営  〈顧客ロイヤルティ指標 NPS〉 で「利益ある成長」を実現する

ネット・プロモーター経営 〈顧客ロイヤルティ指標 NPS〉 で「利益ある成長」を実現する

 

 

 
3. 普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する

「予測のプロより任意の集団からなる人びとの予想の方が、予想の精度が高い」という研究結果について、さまざまな実験や実際のできごとに基づいて書かれており、興味深いです。 

ひと昔前には、「素人であるユーザの意見を聞いても、ユーザは自分の欲しいものを分かっていない」という言説が強かったように思いますが、SNSの浸透によりそのあり方も変わってきました。

日々ユーザの生の声に触れる立場にあるため、こういう本を読むと、自分の体感と照らし合わせて、また少し違った視点でサービスをみつめることができるかもしれません。

 (余談ですが、昔あった「はてなアイデア」というサービスを思い出しました)

 

普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する

普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する

 

 

 

マネジメント

サポートという部署は、会社にもよりさまざまですが、往々にして非常勤が多い。

「100人規模のサポートチームだけど、うち90人が非常勤で出勤もまばら、それを数人のSVが統括しています」というチームと、「まだメンバーはいないけど土台を作って、これからひとを増やす予定です」というチームでは、使われる「マネジメント」の文脈や期待される能力もたぶんに違います。

わたしは、チーム個々人の能力を発見し、任せて、伸ばし、パフォーマンスを最大化するのがマネジメントの重要な役割のひとつだと思っていますが、メンバーが異常に多い上に非常勤が大半のチームだとこの意味でマネジメントを使うのはどうも無理がある。こうなると、そういうチームで語られる「マネジメント」は、私の認識しているマネジメントと同義であるか、あやしい。

「マネジメント」が語られるとき、あるひとは「教育係」に似た意味合いで使っているようだし、あるひとは「勤務などを含む人材管理」という意味合いで使っているようだと感じることもある。あるいはそれもマネジメントなのかもしれない。

規模や自分の立場にもよるけど、どちらにせよマネジメントは「マネージャ」だけの仕事でなく、お互いが各々の能力を把握し、伸ばせる環境を作るのがもっとも最良かつ健全だと思うので、メンバー自身が(セルフマネジメントも含め)マネジメントに関する知識を持つことは大事だと感じます。どうもマネジメントできる人も少ないみたいだしね。

 

4. マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメントの本といえば、多くの人がこの本を思い浮かべると思います。

個人的には抄訳が微妙で、ツギハギな印象を受けたのと、ドラッカーのマネジメントのエッセンスをもっと噛み砕いて書いている本も山ほどあると思うので、探してそういうのを読むでもよいかもしれない。 

 

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

 

 

 

 5. 人を動かす

 仕事に限らず、良好な人間関係を築き、スムーズな付き合い方ができるような気付きを得られる本です。

仕事で人を動かすのは、優秀さや正論だけではどうにもならないので、人との接し方、動かし方、交渉の仕方などについて悩んだら、読んでみるとよいです。

 

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

 

 

 

6. LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 

サポート職は女性が多い傾向にありますが、仕事に対する考え方や行動において、男女に差があることについてはあまり考慮されることがありません。

CSに限らず、女性労働者自身の働き方の見直しや、あるいは自分が上の立場で、女性の部下を持つ人であればとくに、この本を興味深く読めると思います。

 

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
 

 

 

 デザイン

デザインは、一見CSとはまったく関係なさそうに見えるけど、個人的にはかなり深い関わりがあると思っていて、主に二点、理由を挙げることができる。

一つ目は「疑問にこたえるという行為に対するデザイン」。

二つ目は「CS目線から改善できるUI(ユーザインターフェイス)、UX(ユーザエクスペリエンス)デザイン」。

これらは、通常業務で得られる知見だけでなく、デザインへの理解度を上げ引き出しを増やすことで、質の向上に繋がります。

 

7. ライト、ついてますか−問題発見の人間学

大学で心理学(知覚認知)の科目を取ったとき、色覚バリアフリーについての授業を受けた。色に頼ったデザインによる案内板を、色覚異常のひとが認識できないという問題についての内容だった。

問題があるとき、問題を解くことそのものより、そもそも何が問題なのかという問題自体に気づくこと、さらに問題に気づいたあとで解決のために適切にその問題を問うことの方がむずかしい。

CSの仕事でも、そもそもの問題に気づき、適切なフィードバックができるかは重要な仕事の一つだ。

改善できるはずの問題が見落とされつづけたり、代替案で回避することで問題自体がうやむやになるケースは、どこでだってあり得る。

 

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

 

 

 

 8. デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方

IDEOのCEO、ティム・ブラウンによって書かれたデザイン思考に関する本。

デザイナーの仕事が「見た目のよい製品を作る」のでないのと同じく、サポートの仕事も「質問へ答える」だけではないです。デザイン思考を通して、問題そのものを解決する視点を得られます。

 

デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice)

デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice)

 

 

 
9. Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学

 個人的に今日紹介する本の中でもっとも実務的に影響を受けた一冊。

広告のクリエイティブ・ディレクターである著者が、スティーブ・ジョブズと仕事をした体験を基に、ジョブズの「シンプル」思考について書いた本です。

単なるジョブズの伝記類ではなく、いかにシンプルを追求するかのこだわりが丁寧に書かれており、自分でも、煩雑になってきたら必ず「シンプルの杖」を振るようにしています。 

 

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学

 

 

上記はデザインの考え方にフォーカスした本ですが、より実務的なデザインでいくと伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルールを読むと良いと思う。この本も良書です。

 

 

法務

サポート業務では、法律に関連した業務も多く発生するため、法に対する知識、感覚はかなり大事な要素です。

 

 10. インターネットと法 第4版

インターネットに関する法律問題をコンパクトにまとめた本。主な事例を押さえているので、とりあえずこの一冊を読むだけでも幅広く勉強になります。

 

インターネットと法 第4版

インターネットと法 第4版

 

 

 

11. 良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

 利用規約を軸に、法的な観点からサービスを見つめるのに役立ちます。

 

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

 

 

ちなみに私は暇なときに、いろんなサイトの利用規約やヘルプページなどを見るのを趣味にしているのですが、サービス毎の意図や方針、苦悩の痕などが垣間見られるケースもあり、学びがあるのでオススメです。

 

 

データ分析

 問い合わせの傾向を分析してサービス改善に活かすためには、分析力が必要です。

規模が大きいサービスや、担当者が分散しているケース、逆に属人化しているのに改善分析を怠ってる場合などには、データを取ることでより正確な状況を把握し、問題のポイントを浮き彫りにすることができます。

データ分析は、やれば無限に色々できるんだろうけど、むずかしい分析手法が使えるかより「どのデータを、どう取り、その結果からどう仮説を立て改善提案へつなげるか」といった視点がとにかく重要です。(まずは疑問を抱くきっかけを見つけられれば充分)

なので、テクニカルなことはさて置いて、分析のための考え方を知ることから始めましょう。

 

 12. データ解析の実務プロセス入門

タイトル通り、実務に根ざしたデータ解析のプロセスを学べます。またこの本で入門しつつ、より深く学びたい人には、書籍紹介もあります。

テクニカルな話だけでなく「データ解析は目的ではなく手段」であることを前提に、担当者とのコミュニケーションまで含んだ包括的な内容が丁寧に書かれており、データ解析をするひと、興味のあるひとすべてに勧められるので、会社の経費で買ってもらってください。

 

データ解析の実務プロセス入門

データ解析の実務プロセス入門

 

 

 

 13. 知識ゼロからのExcelビジネスデータ分析入門

 私は、これまでの職歴でいちばん長いのが経理(を含むバックオフィス全般)で、何となく見よう見まねでExcelを覚えたクチですが、経歴によってはExcel使ったこともない人もいると思うので、やったことがない人は、Excelの基本的な使い方からやるのもいいかもしれません。

Excel関連の本は山ほどあるので、実際手にとって自分に合うものを探すのもよいと思います。

 

知識ゼロからのExcelビジネスデータ分析入門 (ブルーバックス)

知識ゼロからのExcelビジネスデータ分析入門 (ブルーバックス)

 

 

 

技術系

 ブログサービスのサポートとかなら、HTMLやCSSを使うこともあるかもしれないけど、そういうの以外では直接的に使うことはほとんどないため、HTMLやCSSはわからないというひとは少なくない。

そのため、サイト上にある問題(たとえばCSSが当たってないとか、リンク切れとか)に対して「それが問題であること」を気づけなかったり、「問題っぽいけど修正に時間かかるとエンジニアの手を止めるから」という理由で報告しなかったりというケースもあり、問題がなおざりになるケースもある。

あんま深掘りしなくていいと思うけど、基本的な仕組みを知っておくことで、修正依頼や改善提案の際に、優先度とコストを考慮して報告するための感覚を養えます。

 

 

 14. 実践 Web Standards Design ~Web標準の基本とCSSレイアウト&Tips~

 CSSといえば本書という感じがありますが、これでCSSを始めるには少し固い印象があったので、自分でも実際手にとって分かりやすそうな本を探してみるとよいと思います。(本書に記載されているHTMLは、HTML5ではなくXHTMLです)

 

実践 Web Standards Design ~Web標準の基本とCSSレイアウト&Tips~

実践 Web Standards Design ~Web標準の基本とCSSレイアウト&Tips~

 

 

 HTMLとCSSをまるっきり最初から入門するのだったら、HTML5&CSS3レッスンブックが分かりやすいと思います。

 

15. Linuxコマンドブック ビギナーズ 第4版

プログラミングに興味があるけど、どの言語を学べばよいのか分からない、という疑問はよくあると思いますが、そもそもプログラミングをするためにはターミナル(でコマンド)を使えるようにならないといけません。道のりは長い。

 

Linuxコマンドブック ビギナーズ 第4版 (コマンドブックシリーズ)

Linuxコマンドブック ビギナーズ 第4版 (コマンドブックシリーズ)

 

 

 どの言語から始めればよいのかわからず、どの言語がよいという希望がなければ、「初めてのPerl 第6版」を手にとってみるのもよいかもしれません。本書は技術書の中でも「文章として読みやすい」本で、つまりとっつきやすいです。

自社で使われているプログラミング言語を学習してみるでもよいし、たぶん一番よいのは、本屋さんで実際いろいろ手にとって、自分と相性のよい本を見つけることだと思います。(実際私もそうした)

 

 

 16. JavaScript 第6版

JavaScriptは、HTML、CSSとあわせて動きのあるWebページを作れます。入門書としては内容が難しいので、違う本や学習方法と併用するとよいです。

 

JavaScript 第6版

JavaScript 第6版

 

 

 
本以外での学習

最近は、Web上でプログラミングを学べるサービスも多くあります。試した中でもっとも初心者的にもわかりやすく、すぐ学習できるという点で、学習のハードルが低かったのが「Progate(プロゲート)」。

 

プログラミング興味あるけど、何からやったらいいか全然わかんない、という人は、とりあえずこれから試してみてください。(2015年12月現在、HTML&CSSJavaScriptjQueryRubyRuby on railsPHPが学習できます。)

 

Progateはレベル上げ要素があり、 学習進捗の表示や、ヒントが充実しているのも初心者にはうれしい。

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プロゲート以外にも、プログラミング学習で有名どころといえば、動画でプログラミング学習できる「ドットインストール」。

こちらは短めの動画を通して、実際に入力したり動かしたりしているのを見ながら学習できます。

 

 

その他 

17. ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

 「ハッカーと画家」は、エンジニア文化の一端に触れ理解する用途でオススメできますが、この本には(著者の)ポール・グレアムが、Viaweb*6時代のサポートに関して著している箇所があるので、その部分だけでも読むとおもしろいと思います。 

 

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

 

 

 

最後に

冒頭でも書いたとおり、サポートで求められる知識は意外と広範囲なため、その範囲をなるべくカバーしつつ、各関連ジャンルに入門しやすい書籍を挙げたつもりです。

「業務に役立てるために、こういう方向に能力を伸ばす選択もあるんだよ」という話が聞きたかったので、自分で書きました。

職種的に、あまり表立っていろいろ話が出てこないのが残念だけど、本当はもっとこういう話を聞きたいし、したいと思う。

 

サポートに関する話なら延々できてしまうのでここらで自重しますが、不定期でハッカソンをしたりしてるので、サポート話にご興味のある方は、ぜひお気軽に@meymaoまでお声がけください。

珍しく仕事の話を長々としてしまいましたが、そんなわけで皆様、よいお年を。

 

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*1:タイトルでは便宜上「カスタマー」をつけていますが、趣旨としては一貫して広義でのサポートです

*2:

https://twitter.com/meymao/status/674600967552282625

*3:諸事情により異常なモチベーションでフルスタックサポートを目指しているが、これがサポートの標準だとは考えていない

*4:基本的にWeb系の自社サービスを提供しているカスタマーサポートを前提としています。コールセンター業務でのサポートやECなど一部業種は前提に含んでいません。

*5:文章の書き方みたいな基礎はある前提なので、そこからどう最強に近づくかという観点で書いてます。

*6:オンラインストアを開設できるWebアプリで、1998年に米Yahooに買収されYahoo! Storeになった

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