「私」につながる考古学

夏に考古学の講義を受けた。

自分の中で考古学といったら大体マスター・キートンを連想して「なんかカッコ良さそう!」みたいな、ゆるいイメージしか持っていなかった。

考古学自体は古い時代を取り扱うことが多いけど、学問としての考古学はまだ新しいという。確かに考えれば放射性炭素年代測定もここ数十年の話でしょうし、今後も様々な測定技術が上がればこれまでの認識が覆されることも大いにありえるわけで、なんとも難しい学問だなあと聞きながら思った。

学問として新しいが故にか、大学によっても考古学そのものの捉え方や教え方が異なるらしく、考古学とはこういうものだ!という確立されたものではないところも印象的だった。

指定テキストが非常によかったので、テキストと講義内容で印象に残ったものをざっくりメモしておこうと思う。

 

<道具に表れる文化>

日本では食器に箸や茶碗などが使われてきたが、西洋であればナイフやフォーク、カップといったものが使われてきた。これら道具には食文化からくる必然性は勿論のこと、その外にある文化性があるという点が興味深く、これはテキストの中でももっとも印象的なものだった。

一般に、男と女は生物レベルで体の大きさが違う。従ってはきものや衣類といった体のサイズに由来するものが男と女で異なるのは納得がいく。しかし、はしや茶碗などにはそうしたサイズの差をつける必要はあまりない。このように考えると、茶碗やはしに男女の差をつけて作るというのは日本の文化や社会の中における特有の考え方だということになる。 『考古学入門』(鈴木公雄著)

たしかに食器で男女の差のあるものは日本の食器ではよく見かけるけれど、洋食器ではそのような差がない。

さらに興味深いのは、江戸時代のお椀には男女子供の差はなく、お椀に男女子供の差が出るのは近代からである、ということ。(もっとも、はしやお椀を作るのに体のサイズに合わせるため男女の身長と手の平均サイズから算出した「決まり寸法」というものが江戸時代に作り出された、という話もあるけれど、これが一般的であったのかはよく分からない)

そういえば子供の頃田舎に帰ると、上の従兄弟(四十才くらい?)が使っていたのであろう、アタックNo.1だか魔法使いサリーだかのアニメのプリントがされたプラスチック子供茶碗(大体はピンクやらライトブルーやらでカラフル)が出された。

田舎に保管されている古い食器の中でも明らかに子供用として残っている古いものがそれらくらいで、明治大正昭和初期とそこらへんの日本を考えると、わざわざ子供茶碗を大人と分けて一般的に用意していたというのも考え難いので、子供茶碗に関しては大体そのくらいの年代からなのかなあということで納得感があった。

 

<トイレの発見方法>

遺跡を発掘する際に、出土する物によってそこに何があったか、どのような場所であったかを判断するのだろうけど、糞(便?)に含まれる寄生虫の化石からそこにトイレがあったことが分かるという話を聞いて、なるほどそんなものからこんなことが分かるのか!と面白かった。

トイレに関する話は関連資料の案内も含め聞いた記憶があるけど印象に残っているのはこれくらい。

まだ読んではないけど講義でオススメされていたトイレ本が面白そうなので、余裕のある時に読みたい。

 

トイレの考古学

トイレの考古学

 

 

<遺伝とルーツ>

母方のルーツから各地域集団の縄文系と弥生系の割合を見るという講義で「大方の地域は極端な偏りのない数字なのだけど沖縄だけ96%の割合で縄文系」という話を聞いてインパクトあった。

丁度スクーリング受けている最中に地元(沖縄)の友人と飲む約束があって「みんな縄文系かー」みたいな面白さがあった。

 

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あと渡来人の流れ的なものなのか、遺伝距離の話で、本土日本人と韓国人は遺伝距離が殆ど同じで、距離としてはその次に琉球人やアイヌ人と続く、という話を聞いた。

北東アジアから渡来した人の流れをインターネットでみると本土止まりで、沖縄北海道まではほとんど流れなかったのか、弥生系との混血の多い本土人とは異なりアイヌから見ると琉球人が遺伝的にもっとも近縁であるという記事もあったし、ここ数十〜数百年単位の歴史は置いておいて、非常に興味深く思った項目だった。

 

漠然と「考古学」というと、土器や古墳や貝塚や石器や……みたいな遠い遥か昔のイメージがあるけど、考古学の範囲や方法、関連分野など様々な項目を見ていくと、現代に生きる「私」につながることなのかな、という実感が湧いておもしろかった。

テキストとして使用された本はごく易しい入門書だったので、考古学ってどんな学問だろう?という興味がおありの方は、秋の夜長は読書とブログということで、考古学入門を読んで感想をブログに書いたりしてみたらいいと思います。

 

考古学入門

考古学入門

 

 

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