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2013年2月に読んだ本

二月は短かった割に色々本が読めた気がします。多読したというより、いつもよりジャンルが広かっただけかもしれない。

 

柳宗理 エッセイ (平凡社ライブラリー)

柳宗理 エッセイ (平凡社ライブラリー)

プロダクトデザイナー柳宗理の、その名の通りの「エッセイ」。柳宗理のデザインが好きで、彼の本を読んでみようと思って購入。

アノニマスデザインについてや、父である柳宗悦の話、民藝品についてなど、柳宗理の思考のいろいろが詰まってます。少し前の本なので、所々古めかしく感じる箇所もありはするものの、あまり手に取る類でない本だったので興味深かった。

イームズが(実験用の)蒸発皿のデザインを好んで珈琲の砂糖皿として使ってたという話しが印象的だった。うちでも今度やろう。

CHEMEX コーヒーメーカー 3カップ

CHEMEX コーヒーメーカー 3カップ

実験用具には確かにデザイン性の優れたものが多く、例えばコーヒーメーカーとして現在も人気の高いChemexは、1941年に化学者のシュラムボームが実験器具のビーカーをヒントに考案したものである。

半世紀以上を経た今でもその洗練されたデザインの魅力は変わらない、というわけでこの柳宗理の「エッセイ」でも紹介されていたし、うちにもいます。これで淹れるとコーヒーの時間が楽しくなります。

 

 

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学

この本は、アップルの根源的哲学ともいえる「シンプルさ」についてと、その「シンプル」であることがいかに大変なことかを、実際にあったジョブズとのやりとりなどを交えて書かれている。珍しく「紙の本」ではなく「iPadkindleアプリ」で読んだ。

例えば欠点の指摘や物事を否定しなければならない場面があったとき、少なくない場面で、それを伝えないという選択をするか、もしくはできるだけオブラートに伝えようとする。だけどそれは問題を解決しないどころか複雑さを招くだけで、物事を改善するための邪魔にさえなる。だからスティーブは他人に対して率直であったし、シンプルであることを追求し、求めた。

これを読んで思ったのは(恐らくすごく極端な感想ではあるが)「私(たち)はきっと、Appleの商品に熱狂しているわけではなく、その信念に熱狂している」んだなぁということ。

シンプルであることをストイックに追求し、それを実行できる人間はそう多くない。多くはどうしても複雑さで複雑さを紛らわせてしまう。ただシンプルの価値を理解しているかどうかはとても重要なことのように思えた。Appleファンでなくても、ひとつの読み物として非常に興味深く面白かったのでオススメ。

 

リンゴの木 (角川文庫)

リンゴの木 (角川文庫)

英文学の試験でゴールズワージーについて出てきたけど、完全にノーマークで作品を読んだこともなかったので試験後に買って読んだ代物。ノーベル文学賞作家らしい。

上流階級の大学生が田舎を旅した途中で出会った農家の娘に恋をし、互いに心を寄せるが結果的に娘を裏切り、自分は他の女性と結婚し銀婚式の旅でかつて娘と出会った場所へ数十年の時を経て訪れ、その後の娘の末路を知らされる物語。

軽薄な大学生男子と報われない罪なき娘、という個人的好物なテーマ。

最初は牧歌的で退屈なタイプの物語かと思っていたけど、読み進めるうちに知的階級の男子に見るスノッブさや、他人が俗物に映ることを根拠に自らを相対的に高貴なものに位置づけようとする無意識を抉るような構成と、イギリスの階層社会の断片を感じられ、そのあまりの軽さと彼女の行く末とを比較して胸を突くような苦しい気持ちになってよかった。いや、よくない。

 

このごろは御伽草紙・仮名草子・浮世草子をちまちまと読んでいるのだけど、仮名草子が非常に面白い。

仮名草子自体は室町時代の御伽草子のあとをうけて浮世草子に至るまでの江戸時代初期の約八十年の間に著作発刊されたもので、上方文学の時代にあって京都を舞台としたものが多く見られる。知ってる地名や寺が数百年前の物語で出てくるのはとても興奮する。

あと本件とは関係ないけど、はてなキーワードの仮名草子の項目、やたら充実してるんだけど、御伽草子wikipediaの引用記載程度で、浮世草子に至っては項目さえない。この温度感は何なんだろうと面白くなりました。時間に余裕ないのでキーワード編集や作成はしないけど。

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