昨日の話

昼にあった祖母からの不在着信に気づいて、夜になって電話をかけた。内祝いが届いたお礼の電話だったらしい。

「気づくの遅くなってごめんね、選挙に行ってて。内祝いが届いたかしら」

「ほぉよ、ありがとのぉ」

「こっちこそ。歯が弱いと聞いたので羊羹を贈ったのだけど、おばあさんは甘いものはお好きかしら」

「好きじゃが、はぁよう食べられんよ」

「まぁそう言わんと、これからもちょくちょく贈るけぇ。おばあさんには長生きしてもらわんといかんけぇね」

「そがぁなことせんでええけ、自分のことに使いんさい」

これが、昨日の話。

今朝、母からの不在着信に気づいて出社前に電話をかけた。

「おばあちゃんがね、急に具合悪い言うて救急車で運ばれたんよ。詳しいことはよう分からんけど、心構えいうもんがあるけぇね、一応連絡」

「え、私、昨日おばあちゃんと話したばっかなのに」

出社して数時間後に母から電話があって、祖母が亡くなったと伝えられた。きっと多くいる親戚の中でも、祖母と直近に会話をした人はそう居ないだろう。私は昨日祖母と話した会話を呼び起こした。

「そがぁなことせんでええけ、自分のことに使いんさい」

昨日と今日の距離があまりに遠すぎて、携帯に残る祖母からの着信履歴をただ不思議な気持ちで眺めている。

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