家族の風景

苗字が変わってから初めての盆帰省をしてきた。

元より(両親の実家のある広島へ)毎年欠かさず帰省していたけれども、今年からはこの盆帰省もこれまでとは違うのである。なにせ私は、嫁いだのだ!

そんなわけで、夫の実家へ初めての帰省をしてきた。

実家へお邪魔したことも泊まったことも数回あるので緊張することもなかったけれど、これまでの「彼女」と、これからの「嫁」とでは何かが違うだろう、私はそう構えていた。

というのも、我が家はよく言えばしっかりした古き良き家庭、悪く言えば時代遅れな躾け方針の家庭で、極端に言えば「女は三歩下がって〜」や「三つ指ついて〜」の男尊女卑教育を受けてきた。(これが嫌で結婚するとロクなことがないと小さい頃から思っていたし、今でもそれに近い強迫観念がある)

嫁としてどう振る舞えばいいのだろうと思いながら夫の実家へ数日の間泊まったけれど、そこはこれまで母上に教えられてきた世界とは、まるで違っていた。

お義父さんは昔から子供を連れてあちこちするのが好きらしく、わざわざ柳川へ車を走らせ鰻を食べに連れていってくれたり(うちだったら絶対しない)、お盆が誕生日な私のために家族全員でショッピングモールで一緒に見てまわりながら誕生日プレゼントを買って下さったり(うちだったら絶対しない)、まったく三つ指つく機会がない。

夜は夜で、お義父さんが経営されてるライブハウスで深夜までお酒を飲みながら家族でカラオケを歌ったりしながら楽しむ。

「めいまおちゃん、歌うまかねー。好きなだけ歌いー」と、私が歌うと楽しそうにドラムを叩いて合わせてくれる。とりあえず歌をうたってたら褒めてくれる嫁ぎ先、ってなかなかない気がする。(お義父さんはバンドでドラムをされていた)

今まで自分が育てられた『家族』の姿が自分にとっての家族だったので、当たり前だけど改めて新しい家族の一員になると、家族の数だけ家族の風景があるのだなぁと実感する。

恐ろしいのは、これから自分がその『家族』をまた新たに一から築いていくのか、ということ。正直、お腹いっぱいだし、眩暈がする。

みんな「どんな家庭を築きたい」みたいな理想って、持ってるのかなぁと考える。私は元より後ろ向きなプラス思考なので、「こうしたい」より「こうはしたくない」ということの方が恐らく多い。

家族は絵に描いたような理想のものでなくもっと現実的で、それぞれに課せられたものを背負う個々のゆるやかな集合体、といったものに近い認識があるからかもしれない。

「気づいたら結婚していた」みたいに、「気づいたらなんとなく家族が成り立っていた」という感じになるのかなぁと、漠然といまはそう思う。

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