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旅人と靴

よく旅に出る。なんといってもこれまでの人生だって言ってみりゃ旅である。そこまで言えば、きっと私は未だ流浪の旅人である、だなんて言えるかもしんない、言いたい。

これまで住んだ場所が多いので、必然的にか、旅がてら訪れなければならない場所も多い。

京都に引っ越して半年も経ってないけどその間、沖縄・福岡・関東(は何度も往復してる)と、落ち着きがないったらありゃしない。

そんなわけで私は旅人だし、旅人だもんだから旅することに慣れている。

旅をスマートに行うには大荷物は厳禁で、大体必要なものは旅先で購入するに限る。歯ブラシや化粧水や靴下や下着が足らないかなんて心配はしたくない。いい機会じゃないか、買ってしまおう。うん、なかなかいい買い物ができた、なんて具合。

そんな私が旅で困るのが「靴」の存在だ。

靴は普通、履いていくものしか持っていかない。でも服に合わせて「この服ならこんな靴」ってのがあるわけで、うちの靴箱には九割方あたいの靴で溢れてて、スニーカー一足で満足しちゃう僕に「なんでこんなに靴が必要なの?」と呆れられるのである。

でもきっとこれって、iPod touchとAndroidとMacBookAirとProとminiPCとKindle持っててさらに「たまにiPad欲しいって思うときある」みたいなのに似た何か、なの。

 

背が低いのでヒール率が高い。そしてよく歩く。七センチ程度ならなんのその、サクサクごりごり。歩く歩く。

本郷三丁目で電車を降りて、炭団坂経由で散策後、東京大学本郷キャンパスを徘徊、根津経由で上野まで行き不忍池を一周して約五キロメートル。……足も太くなるはずである。

いくら気分よく朝起きられてメイクや洋服がキマっても、靴がしっくりこないといけない。すまし顔でヒールを鳴らしながら颯爽と町を歩くのは気持ちがよい。

靴ほど気難しいアイテムもない。合わないものを買ってしまうと全く歩けない。靴を前に途方に暮れる。

「お前さん、やる気あんのかい」「いや、どうもあんたの足は好かねぇな」なんて会話をしてるようなしょぼくれ具合である。洋服みたいにリメイクや雑巾にしてしまうこともできない。

相性のいい靴と出会えると気分までよくなるし、この靴が私をどこか素敵な場所、素敵な人の元へ連れて行ってくれるような気がしてくる。先日神奈川に行った際には新年を占う意味を込めて、旅先で靴を購入した。なかなかいい靴と出会えたので、きっと素敵に過ごせる一年になる気がする。

 

これまで履き潰した靴がどれだけあったか、今では思い出せない。

靴箱を前に、これから履き潰れるまで付き合わされるこの靴たちを眺めながら、一緒にどこへ行こうか、語りかけるような気持ちになる。

なにせ私は、まだ旅の途中なのである。

 

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