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自己紹介

「ほら、私って毒舌じゃん?」みたいな同調を前提とした自己申告が含まれる会話が苦手だ。

第一に、私が実際はどう感じているかなどお構いなしに、当然のように同意を求めてくるその図々しさ。百歩譲って、私がその人のことを毒舌だと思っているならまだ救いがあるけど、まったく毒舌だとも何とも思っていない場合なんかは最悪だ。

第二に、その自己申告が多分に「その人がそのように見られたい自分」の自意識が漏れた結果だという微妙な波を私が受信してしまうからだと思う。この自己申告型のコミュニケーションは免罪符的な役割をあらかじめ期待されている。

もちろん、この手の自己申告すべてを否定するものではなくて、時々そのような微妙な波を受信するというだけの話だ。

この感覚に関連するのだろうとこの頃考えているものに、自己紹介への苦手意識がある。

 

どうやら私は、自己紹介をするのが苦手なようだ。

自己紹介という形式で私を切り取る時、「私の中のどのような部分を切り取って、私として私が紹介するか」という自己選択が迫られる。
その自己選択そのものに「私がどのような私として見られたいか」というある種の自己の型化と自意識の発露を感じるし、どの部分を切り取って紹介する私も、私自身が大して私のように感じられないということもある。

そもそも形式化された自己紹介の形が、その人を知るために本当に最適なのかという疑問もある。

質問が答えを規定する。

あらゆる場面で感じるこのことは、当然のように形式的なこの自己紹介にも及ぶ。

その自己紹介が適切であるかとか、実態に沿っているかとか、きっとそんなことなんてどうでもよくて、だいたいの人となりを知ることが必要なので、とりあえず糸口としてどんな人か把握しやすいよう略歴的な自己紹介を行うんだってことは理解している。

そう考えると、そもそもさほどその手法を使って自分のことを知ってほしいと思っていない自分の不親切さばかりが浮き出てしまって、申し訳ない気持ちにならないでもない。
略歴を3分話すよりはこんな話をしたほうがよほど「私」っぽいけど、自己紹介としてやるにはおよそ不向きな話だし。

そんなわけで、これからもなるべく自己紹介をしないで生きていきたい。

 

夫業24時間

図書館で適当に本を手に取り、パラパラとめくって思いもよらぬ未知の本と邂逅するのがたのしい。

無数の書物の中から、あるものはタイトルに惹かれ、あるものは偶然手にとり、めくっては数秒で本棚へ戻したり、あるいはすでに片腕の山となっている本に追加して家に連れて帰ったりする。

なるべく適当に本に出会いたいから、図書館を隈なく散策する。

ほとんどの部分は、指の間からこぼれ落ちる砂のように記憶から抜け落ちるのに、そんな中でも、やけに引っかかって、いつまでも頭の隅で反芻するようなフレーズやストーリーがある。

先日やはり図書館で適当に読んだ、本だったか雑誌だったかに、こんな内容が書かれていた。

 

夫業は24時間である。しかしほとんどの場合、そのことを理解していないことによって、すれ違うケースが多い。

 

 うろ覚えなので正しい文章ではない。また当の本を借りていないことから、手にとった時には然程その本に対して、魅力的に思わなかったのだろう。

なんとなく「夫業は24時間」というフレーズのインパクトだけが、時間とともに頭の片隅に残った。

というのも、そもそも「夫業」というものを概念として認識したことがなかったことと、それが24時間という常時であると主張されているものに、初めて遭遇したからだと思う。

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できればレディのように生きたい

「僕は『メシ』とか『便所』といった言葉遣いをあまりしないね」という話を、昔したことがある。

母が躾にうるさかったのもあってか、私は言葉遣いやちょっとしたマナーや所作などについて(自分ができるかはさて置かれるわけだけど)敏感なところがある。

「たしかに。うちで両親があまりそういう言葉遣いをしなかったからかもしれない」と僕は言った。

同じことを言うのでも『メシ』と『ご飯』では、響きが随分違う。『お腹空いた』と『腹減った』でもそう。『トイレ』『便所』『小便』『御手洗』の呼び方でもよい。

『お前』という呼称も好まないし、命令口調や、語尾の乱暴なのも、気になるので私は極力遣わない。

若いときはいきがったり、恥ずかしかったりがあって、乱暴な言葉を遣うのが仲間内での共通の空気みたいなところもあったけれど、言葉は無意識に癖となり、自分の身に染みつくものでもあるので、気をつけたい。

 

先日、下町風俗資料館で一人、長屋の展示を見ていたら、二十代らしい女性集団が大声で話しながら館内を歩いていた。

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